プラスチック修復
虫歯治療に際して、歯冠色に近似したプラスチック材料を使い、治療時に削った部分を補う修復治療を「コンポジットレジン修復治療」といいます。

■レジンとはどんな素材?
レジンとはプラスチック素材でできた歯の修復物です。柔らかい状態のレジン(プラスチック素材)を治療時に削った箇所や欠けた部分に入れ、しばらく光を当てることでしっかりと固まります。この方法であれば基本的にどのような形にも加工が可能です。
比較的小さな虫歯を埋めるために用いられるコンポジットレジン(CR)は、メーカーによって素材の成分に差があり、日々審美性や強度を高めるために改良されています。そのため、「レジン」といっても多くの性質があります。
■レジンって丈夫なの?その耐久性
プラスチック素材のため、そこまでの耐久性はありません。適度な柔らかさがあるので歯の動きや噛み合わせなどで少しずつ削れていくことがあります。大きな力がかかると割れることがあります。すり減ったり割れたとしても、再度コンポジットレジンで修復することもできますが「レジンの寿命は比較的短いもの」と認識してください。コンポジットレジンの耐用年数は2~3年が目安です。歯医者さんで治療が完了したからもう大丈夫だと思い、何年も歯科医院に行かない方もいらっしゃいます。一生使えるものと思い込んでいると、ちょっとした異変(欠けた、割れたなど)に気付けませんので注意が必要です。レジンは強度に問題があるため、大きな虫歯の修復や噛み合わせ、歯ぎしりが強い方には向きません。さらに奥歯は噛む時に強い力がかかるため、レジンは用いることができず前歯の治療のみ可能です。(その場合、保険治療が適用できます)
■レジン修復治療の長所
・従来の合金を詰める方法では、銀色などが多かったために審美性が悪かったのですが、白いプラスチック樹脂を用いることで、審美性と歯の保護を両立できます。
・光線を当てるまで硬化しないため治療時間に余裕があり、20秒程度の可視光線照射で急速に硬化します。
・硬化させるまでは粘土状で整形しやすく材料の無駄が少ないです。
・従来の合金を詰める方法では、虫歯ではない健康な部分も大幅に削る必要がありました。一方、コンポジットレジン修復法では、直接埋めて固めるため、歯を削る量を少なくできます。
・歯の変色に対しては、表面をコーティングすることで、削らずに治療できます。
・金属アレルギーがある患者様にも、安心して使うことができます。
・保険適用の範囲内なので、金額として安く済みます(日本の場合)。
■レジン修復治療の短所
・光線が届かない箇所では硬化させられないため使用できません。
・コンポジットレジンや、接着剤にアレルギーを持つ患者様には適用できません。
・金属やセラミックと比較すると強度が劣り、欠けることがあります。
・時間が経つと、経年劣化で変色することがあります。
・大きな虫歯だと、上手く素材を重ねる事ができず使えないことがあります。
レジンは割れやすい素材です。レジンが取れた場合、患者様は気づかれますが、ヒビが入っているだけの場合は気がつかずにヒビに沿って虫歯になることがあります。定期検診が重要です。
また、レジンの刺激によって本来神経が生きていた歯であっても、経年的に神経が死んでしまう場合もあります。その際は感染根管治療(歯の根の治療)を行い、被せ物をしなくてはなりません。