親知らずの抜歯
親知らず(智歯)は歯肉や骨の中に埋まって、湾曲や肥大など歯根に異常をともなっている場合があり、抜歯は困難で専門的な術式が必要です。術式はもちろん丁寧に行いますが、術後に痛みや腫れなどの症状を生じる場合があり注意が必要です。

■どうして親知らずの抜歯は必要なのでしょうか?
●親知らずが傾斜したり骨に埋まっている。
●手前の歯(第二大臼歯)との間に食片などが入り虫歯や歯周炎の原因になっている。または、そうなる可能性があり、親知らずを抜歯せずそのままにしていると虫歯が進行し、将来第二大臼歯も抜歯になる可能性がある。
●親知らずのまわりに膿の袋ができてしまい、骨を吸収している。
●親知らずのまわりに汚れがたまり、歯肉に炎症を起こしている。
●歯列不正の原因になっている、または将来その可能性がある。
以上の理由のため、抜歯が必要になります。
■抜歯について
手術時間は40~60分間です。手術中の状況により当初の術式が変更になることがあります。術後には鎮痛剤と抗菌剤の薬を処方します。抜歯の翌日に洗浄処置、7日後に縫合糸を取ります。通常は通院で行いますが、痛みに弱い方や歯が深く埋入している場合には、笑気鎮静法を行った上で抜歯を行うこともあります。歯根と顎の神経の位置関係を詳しく見るため、CT検査を受けてもらうことがあります。
■術後に以下の症状が出ることがありますが適切な処置をいたします。
・痛み…2~4日間程度あります。
・頬の腫れ…4~7日間程度あり、口が開きにくくなったり食事が取りづらくなることがあります。
・出血…にじむような出血がありますが心配はいりません。量が多い時はガーゼを約20分かんで下さい。
・内出血…頬に紫色や黄色のあざが出ることがありますが、約2週間ほどで消失します。
・下唇の知覚麻痺…下顎の親知らずの歯根と顎の神経が接している時には、下唇やその下のオトガイ部に麻酔が効いた様なしびれ感がまれに残ることもあります。ほとんどの場合、神経に作用する薬を飲むことで1~3ヶ月ほどで回復しますが、まれに数年間ごく軽いしびれ感が残ることもあります。下唇の知覚麻痺のデータ上での発現率は0.4~5.5%。6ヶ月後にも認めていたのは全体の0.05%と報告されています。
・舌の知覚麻痺…麻酔時に注射の針先が舌の神経を刺激して、まれに舌にしびれが出ることがあります。
・治りの不良…抜歯した場所には血液が固まり傷口をふさいでくれますが、うがいをしすぎて血液のかたまりがとれたり、食物が入ってしまい治りが悪くなって痛みが出ることがあります。
・感染…まれに感染を起こし痛みや腫れが生じることがあります。その場合は効果のある抗菌剤や点滴が必要となります。
・発熱…まれにでることがあります。抜歯当日は、無理はせず体を安静にして早目にお休みください。